「サクリファイス」シリーズといえば良いのでしょうか、自転車ロードレースを題材にした小説で若干ですがサスペンス要素もありますので、ロードレースに興味がなくともサスペンス好きの方にも楽しめるのではないでしょうか。
シリーズとしては、5作目になりますが、3作目の「サヴァイヴ」は短編集であり、4作目の「キアズマ」は「サクリファイス」シリーズの主人公「白石誓」とは別の物語だったので、「白石誓」の物語としては3作目になります。
本シリーズの続編の販売をずっと待っており、昨年新書で発売されていたのは知っていたのですが、Kindle版が出るのをずっと待っておりました。
とはいえ、常にKindle化されるのをチェックしていたわけでもないですが、先日ふと思い立って検索したら、Kindle化されていたので、購入して早速読みました。
感想は、待っていたかいがあったというもので、今作はツール・ド・フランスが舞台になっております。
ついにきたかという感じですね。
主人公「白石誓」はエースではなくアシストとしてツールを走っているのですが、アシストの心情はこうなのかなと思わせるリアリティのある作品だと思います。
私はホビーレースには出ておりますが、勝負に絡めるほどの足もチームメイトもいないので、本作品がどれほどリアルなのかは正直判断できませんが、ロードレースにかける各登場人物の心情がよく描かれていると思います。
Jスポーツでロードレースを観て解説を聞いている内容が本書にも出てきますのでロードレースの暗黙の了解などがわからないと少し理解できないところもあるかもしれませんが、主題がそこにあるわけではないので問題はないでしょう。
あまり書きすぎるとネタバレになりますので、ここでは割愛しますが、本書の次回作が期待できるのかどうかがわからないラストだったとは思います。
できれば続きを書いてほしいところです。オススメです。